私はゲームの運営が仕事なんですが、
ホンマに環境が変わったなと。
私が最初にゲームをヒットさせたときの話。そのゲームの公式アカウントをtwitterに作って、そのアカウントで、ゲームを好きそうな人を100人程度フォローしただけです。マジでほぼそれだけで口コミが広がって1週間で2万人登録を獲得しました。当時、ソーシャルゲームという言葉があるかないか位の時期。海外のゲームのパクリでした。これが15年前の話。
次のゲームをヒットさせたときは広告で集客してました。口コミに頼る集客方法は、こちらから能動的に仕掛けにくいし、バズるかどうかが運要素が大きいし、ユーザーにウケてるかどうかの客観的なデータも取りづらいので。この時は、ソシャゲとかも既に山程あったけど、まだ多少の個性があれば、1ユーザー150円くらいで取れてたのよ。これが12年くらい前かねぇ。ガチャがソシャゲに組み込まれるようになった時期。まあ、客層が若かったので、あまり儲からなかった。
この反省を活かして、可処分所得の多い人が好きそうなジャンルでゲーム作ったのよ。これは、かなり狭いジャンルを狙ったけど、目論見通り、ユーザーが金に余裕がある層なので、ビジネスとしてかなり成功したと言えます。しかし、同時に、集客単価は高騰してまして、もう1ユーザー獲得に4000円~6000円とかかかります。ゲーム1本買える値段。これが8年くらい前かねぇ。
んで、それ以後も、暇があるときに、試作品みたいなゲームを1ヶ月くらいで作っては出し、広告を打って反応を見るってのを年2,3個ずつ繰り返してるけど、どんどん、反応が悪くなってるね。口コミなんか到底起きると思えないです。先日公開した試作品ゲームなんか、ゲーム内で1クリックさせるのに6000円もかかりました(笑)。絶対に採算が取れない。
業界の初期の段階では、需要が圧倒的にあって、低品質なものでも爆発的にバズったわけよ。しかし、儲かることが人々にバレて、どんどん業界の競争が激しくなっていく。そうするとバズることなんか、まず、なくなる。
大企業が巨大な予算で作った(有名声優、有名キャラクター、有名作品をテーマにしたり、コラボしたりな、)高品質のゲームで大衆向けヒットを狙うか、マニアックな路線で低予算で作って高単価の客層を狙うか、の2パターンに集約されていく。小規模な上場企業なんかは統廃合を進めて消滅していく。
今、もう本当に無理ですね。マニアックな路線もいよいよ鉱脈らしいものは掘り尽くされてる。新作を当てるのは、もう本当に諦めようかと思う。私の中のまだ一番マシそうなアイデアですら成功が見えなくなってきた。
あとは大企業が既に確立されたゲームシステムに有名キャラクターを乗せて展開するフェーズに入ってるんだと思う。steamで個人開発者が奇跡的にヒットさせたゲームを大企業がパクって、有名キャラクターを乗せて出し直す。そういうフェーズ。
もし過去に戻れたとして、どうやれば大企業の一角に食い込めたを考えてみると、ゲームをヒットさせるときに、自社のキャラクターを育てておくことが一番大事だったと思います。どうやら、ゲームは飽きられるけど、キャラクターの想い出は人の心に何十年も残るみたいです。
結局、任天堂のゲームにしても、マリオやゼルダやポケモンなど、同じ人気キャラクターや世界観を使いまくってます。一番わかり易い例としては、スーパーマリオUSAというゲームで、これは別のヒットしなかったゲームに、マリオの世界観を乗せただけで大ヒットしました。
スクエニがドラクエのリメイクに頼るのも、気持ちがとてもわかる。新しいものをヒットさせるのは凄く難しい。だから過去のヒット作に頼る。
「推しカルチャー」での餓狼伝説、及び、SNKの復活もこの流れ。会社は倒産したのに、キャラクターは生きてたんです。
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どこの業界でもこんな感じでしょうね。
アイドル業界も同じですよ。一回人気が出たグループは、メンバーを変えてでも残すべきです。昔の人気曲を何回もこする。なんか渋いですけど、ビジネスとしては正攻法だと思います。
ディズニーを筆頭に映画界なんかも、100年くらい前に創造されたキャラクターを未だに稼ぎ頭にしてるのも同じような事情でしょう。
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なぜこのような、いわゆる"知的財産"やブランドがなぜ大事なのか。
一つには、最低限の品質保証でしょうね。ゲームって、遊んでみないとオモシロイかどうかわからないわけです。だから「少なくともこのキャラクターが使われてるってことは、それなりのオモシロさが確保されてるんだろうな」という信頼によって、宣伝の効率が上がってるんだと思います。この力は内外に働きます。お客さんに対してもだし、人を雇うとか、発注するとか、仕事上の協力者を募るような際にも働きます。
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だからもし、特に、エンタメ絡みでビジネスを今後もやるとしたら、キャラクターやブランドなどと真剣に向き合わないといけませんね。
まあ、それも一朝一夕にはイカないです。例えばポケモンで考えると、初代の時点から、全モンスターに鳴き声や図鑑の説明文までつけてるわけです。しかも、全然売れないかも知れないのに、赤と緑の2種を売り出した上で、青まで準備した。そのひと手間を惜しんではイケナイわけです。だけど、そこまでやるゲームってめったにないでしょう?やっぱ、良くも悪くも、このひと手間が大きなひと手間。
そのポケモンを生み出した会社(ゲームフリーク)ですら、とてつもなく儲かっているのに、ポケモン関係以外のゲームはほぼ作ってないです。新しいキャラクターを当てることの難しさをよく知ってるからなんだと思います。
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次にビジネスを考えるとしたら、キャラクターを売り出そうか。
それで最近だと、ヒプノシスマイクとかが上手いと思う。ゲームや映画などの"モノ"の前に、キャラクターと設定と歌だけがある。予算配分として正しい気がする。ゲームや映画を作るより、歌とホームページを作るほうが安上がりです。
どうせキャラクターで勝てないと長期的には商売にならないので、それなら、先にキャラクターから売れば良いという考え方は理に適ってると思う。