来年から、ミニマムタックスなる新制度により、金持ちにさらに重税が課されるという。
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen19kai2.pdf
概ね、金融所得50億円あたり3億円程度の増税になるらしい。
「1億円の壁」理論などという誤解に基づいて、この制度が作られたことは、財務省の資料から間違いないだろう。
(年間所得が1億円を越えるような人々は、所得に対する納税額の割合が小さい現象。配当や株式の売買益が、申告分離課税という制度によって、概ね20%であることが原因。)
「金持ち憎し!」の感情論が暴走したことと、官僚や政治家の知的水準が低下したことが原因だろうか。「1億円の壁」なる誤解を根拠として、実際に税制まで変わってしまうとは、恐ろしい。
私はこのブログで何回も書いてきたが、「1億円の壁」という話は妄想です。配当は法人が様々な税金を支払った最終的な税引後利益から支払われており、また株の売買益もそれを理論的根拠として発生している。故に、金融所得の申告分離課税によって、所得に対する納税額が小さく見えてしまうのは、見かけ上そうなっているに過ぎず、実態としての税負担は相応に高いのだ。
単に金融所得への課税を高めたところで、例えば企業の大株主たる経営者などは、配当をもらわずに役員報酬をもらえば金融所得を得る必要がない。このミニマムタックスなる税制は、全体として税収を増やすこともなく、株式の流動性を低め、事業継承を難しくするばかりであり、資本主義経済を萎縮させることになるだろう。
上場は馬鹿らしい、事業継承も難しい、となれば、起業意欲が失われ、経済の活力も損なわれる。
金持ちに対して重税を課したいならば、素直にそう言えば良い。誤解を根拠に用いて、間違った理論で税制を歪めるのは、恥ずべきだ。
なんと、この制度による影響は年間数百人程度であるとされる。一体、それでいくらの税収になると考えたのだろうか。単に貧乏人の溜飲を下げるために生まれた制度としか思えない。